デスクワーク中心の仕事をしていると、「汗をかいていないから大丈夫」と水分補給を後回しにしがちです。しかし、オフィスのエアコン環境は湿度が30〜40%程度まで低下していることが多く、気づかないうちに呼吸や皮膚から水分が失われています。
厚生労働省の「健康のために水を飲もう」推進運動では、食事以外に1日1.2L程度の水分摂取が目安とされています。この記事では、オフィスワーカーが無理なく続けられる水分補給の方法、適切な量とタイミング、仕事のパフォーマンスとの関係について解説します。

デスクワーク中に水分が不足する理由
デスクワーク中は激しい運動をしないため、「水分不足になるはずがない」と考えがちです。しかし、以下の理由で実際には水分不足に陥りやすい環境が揃っています。
エアコンによる乾燥
オフィスのエアコン(冷房・暖房ともに)は室内の湿度を低下させます。特に冬場の暖房使用時は湿度が20%台まで下がることもあり、呼吸や皮膚からの不感蒸泄が増加します。
集中すると飲むのを忘れる
業務に集中していると、喉の渇きに気づかないまま数時間が経ってしまうことは珍しくありません。会議が続いたり、デスクに飲み物を置いていなかったりすると、さらに飲む機会が減ります。
トイレを気にして控えてしまう
「トイレが近くなるのが嫌」という理由で水分を控える人もいますが、これは体にとって良くない習慣です。適切な水分補給はトイレの回数が増える以上のメリットがあります。
- エアコン環境では気づかず水分が失われている
- 集中するほど飲むタイミングを逃しやすい
- トイレを気にして控えるのは逆効果
飲む量を増やすのと同時に、周りの乾燥そのものを和らげる手もあります。USB電源で動く小型の卓上加湿器なら、席の上に置いても場所を取らず、自分のまわりの湿度を保ちやすくなります。
オフィスでの水分補給量の目安
厚生労働省の推進運動に基づくと、食事以外で1日に約1.2Lの水分摂取が推奨されています。このうち、勤務時間中(8時間)に約800mL〜1Lを飲むのが目安です。
具体的には、2時間に1回、コップ1杯(約200mL)をゆっくり飲むペースで、勤務時間中に4〜5回飲めば800〜1,000mLを達成できます。一気飲みではなく、30分〜1時間かけてちびちびと飲むのがベストです。
1日の水分補給スケジュール例
- 出勤時(9:00):コップ1杯(200mL)
- 午前の休憩(10:30):コップ1杯(200mL)
- 昼食時(12:00):食事と一緒にコップ1杯(200mL)
- 午後の前半(14:00):コップ1杯(200mL)
- 午後の後半(16:00):コップ1杯(200mL)
- 退勤前(18:00):コップ半分〜1杯(100〜200mL)
これで合計1,100〜1,200mLとなり、1日の目安をクリアできます。

水分補給を習慣化するコツ
「飲まなきゃ」と思っていても、忙しいとつい忘れてしまうもの。以下の工夫で無理なく習慣化できます。
デスクに飲み物を常備する
マイボトルやペットボトルをデスクの目に見える位置に置いておくのが最も効果的です。視界に入ることで「あ、飲もう」と思い出すきっかけになります。
デスク用には350ml前後の真空断熱ボトルが扱いやすいサイズです。ペットボトルと違って結露しないので、書類の上に置いても濡らす心配がありません。
スマホのリマインダーを活用する
2時間おきにアラームやリマインダーをセットしておけば、飲み忘れを防げます。水分補給アプリを使って、飲んだ量を記録するのもモチベーション維持に役立ちます。
トイレに立ったら飲む
「トイレに行ったら戻りにコップ1杯の水を飲む」というルールを決めておくと、自然と水分補給のサイクルができます。
会議にはマイボトルを持参する
長時間の会議では飲み物が手元にないと全く飲めないことがあります。会議室にマイボトルを持ち込む習慣をつけましょう。
デスクワーク中に適した飲み物・避けたい飲み物
適した飲み物
- 水(常温):最もシンプルで安心。カロリーもゼロ
- 麦茶:ノンカフェインでミネラルも含む。オフィスでの日常的な水分補給に最適
- ルイボスティー:ノンカフェインで味にクセが少なく、飲みやすい
- 白湯:胃腸に優しく、冷え性の方にもおすすめ
味を変えられると飲む回数も増えやすいので、麦茶やルイボスなどノンカフェインのティーバッグをアソートで用意して、引き出しに常備している方もいます。
注意が必要な飲み物
- コーヒー:適量(1日3〜4杯程度)であれば問題ないが、カフェインには利尿作用があるため、コーヒーを飲んだらその分水も追加で飲むのが理想
- エナジードリンク:カフェインと糖分が多い。日常的な水分補給には不向き
- ジュース・甘い飲み物:糖分の過剰摂取につながるため、水分補給の主役にはしない方がよい
コーヒーを水分補給としてカウントしている方も多いですが、カフェインの利尿作用を考慮すると、コーヒーだけで1日の水分を賄うのは不十分です。コーヒー以外にもノンカフェインの飲み物を組み合わせましょう。
水分不足がデスクワークに与える影響
水分が不足すると、仕事のパフォーマンスにも影響が出ることがわかっています。
- 集中力の低下:体重の1〜2%の脱水でも注意力や短期記憶に影響が出るという研究報告がある
- 頭痛:水分不足は頭痛の原因になることがある。「午後になると頭が痛い」という方は、水分不足を疑ってみる価値がある
- 疲労感:脱水状態では血液の粘度が上がり、心臓への負担が増えるため、だるさや疲労感を感じやすくなる
- 肌の乾燥:エアコン環境と水分不足のダブルパンチで、肌のコンディションが悪化しやすい

在宅ワーク(テレワーク)での水分補給
在宅ワークではオフィス以上に水分補給が疎かになりがちです。自宅にはウォータークーラーや自販機がないため、キッチンまで飲み物を取りに行くのが面倒で、つい飲まないまま時間が過ぎてしまうことがあります。
対策としては以下の方法が有効です。
- 朝のうちに1日分の水を用意する:ペットボトルやピッチャーをデスクに置いておけば、取りに行く手間がなくなる
- ウォーターサーバーの活用:リビングや書斎にサーバーがあれば、温水・冷水がすぐに使える。水分補給の習慣化に大きく貢献する
- 休憩のルーティンに組み込む:ポモドーロテクニック(25分作業+5分休憩)などの休憩タイミングで飲むルールを決める
デスクに置くなら、蓋付きのカラフェやピッチャーが便利です。1L前後のものを朝いっぱいにしておけば、席を立たずにその日の目安量をほぼまかなえます。
オフィスの水分補給に関するQ&A
Q. デスクワーク中にどれくらい飲めば十分?
勤務時間中(8時間)に800mL〜1L、1日トータルで食事以外に約1.2Lが目安です。ただし、体格や季節、オフィスの空調環境によって個人差があるため、尿の色を参考にするのも一つの方法です。薄い黄色であれば適切、濃い黄色なら不足気味のサインです。
Q. 冷たい水と常温の水、どちらがいい?
デスクワーク中の水分補給であればどちらでも問題ありません。冷たい水は口当たりがよく飲みやすいですが、胃腸が弱い方は常温や白湯のほうが負担が少ないでしょう。自分が飲みやすい温度を選ぶことが、結果的にたくさん飲めることにつながります。
Q. カフェイン飲料は水分補給にカウントしてよい?
少量のカフェイン摂取であれば極端な脱水にはなりませんが、コーヒーだけに頼るのは避けたほうがよいでしょう。コーヒー1杯に対して同量の水を追加で飲むことを意識すると、バランスのよい水分補給ができます。
デスクワーク中の水分補給は、「マイボトルをデスクに置く」「2時間に1回飲む」というシンプルな習慣で大きく改善できます。体のコンディションと仕事のパフォーマンスを保つために、今日から意識してみてください。


