ウォーターサーバーの水は安全に飲めるのか、気になったことはないでしょうか。「工場で作られた水だから安全なはず」と漠然と思っていても、実際にどんな検査や基準があるのか知っている方は少ないかもしれません。
この記事では、ウォーターサーバーの水がどのような基準で管理されているのか、どんな水質検査が行われているのかを詳しく解説します。法律で定められた基準と、業界独自の品質管理の両面から見ていきましょう。

ウォーターサーバーの水に適用される法律
ウォーターサーバーで提供される水は、「ミネラルウォーター類」として食品衛生法の規制対象になっています。水道水が水道法で管理されるのとは別の枠組みで、清涼飲料水としての基準をクリアする必要があります。
食品衛生法の基準
食品衛生法では、ミネラルウォーター類の製造に使用する水(食品製造用水)について、26項目の水質基準が定められています。大腸菌群、鉛、ヒ素、水銀などの有害物質が基準値以下であることが求められます。
食品製造用水の26項目には、一般細菌、大腸菌群、カドミウム、水銀、鉛、ヒ素、六価クロム、シアン、フッ素、有機リン、亜鉛、鉄、マンガン、銅、塩化物イオン、硬度、蒸発残留物、フェノール類、有機物、pH値、味、臭気、色度、濁度などが含まれます。
ちなみに、自宅の水道水が今どんな状態なのかは、市販の簡易キットで残留塩素や硬度をおおまかに測ることもできます。数値を知ってから比較すると、サーバー選びの判断がしやすくなります。
殺菌基準
ミネラルウォーター類は殺菌処理の有無によって規格が分かれます。殺菌処理を行う場合は、85℃で30分以上の加熱殺菌、またはそれと同等以上の殺菌効果を持つ方法で処理することが定められています。非加熱殺菌の場合は、原水の基準がさらに厳しくなり、源泉での微生物検査が追加されます。
メーカーが実施している水質検査の内容
法律で定められた基準に加えて、多くのウォーターサーバーメーカーは独自の品質管理体制を構築しています。
毎日の検査
- 官能検査:味・におい・色・見た目を検査員が直接確認する
- 微生物検査:一般細菌数や大腸菌群の有無を培養して検査する
- 理化学検査:pH値や濁度などの数値を計測する
定期検査(月次・年次)
- 外部機関による水質検査:第三者の検査機関に依頼して、食品製造用水26項目の分析を行う
- 放射性物質検査:セシウムやヨウ素などの放射性物質が検出限界値以下であることを確認する
- 残留農薬検査:採水地の環境によっては、農薬成分の検査も実施する

水道水との安全基準の違い
水道水は水道法に基づく51項目の水質基準で管理されていますが、ウォーターサーバーの水(ミネラルウォーター類)は食品衛生法の基準で管理されています。
項目数だけを見ると水道水のほうが厳しく見えますが、ミネラルウォーター類の基準も十分に安全性を担保するものです。水道水は長い配管を通って届くため、残留塩素の管理が必要ですが、ウォーターサーバーの水は密封ボトルで届くため塩素を含まないのが特徴です。カルキ臭がないのも、この違いによるものです。
ウォーターサーバーの水は塩素を含まないため、開封後は雑菌が繁殖しやすくなります。開封後は2週間以内を目安に飲みきりましょう。
業界団体(JDSA)の安全基準
日本宅配水&サーバー協会(JDSA)は、宅配水業界の自主的な品質基準を策定しています。会員企業は以下のような基準を遵守することが求められます。
- 製造工場の衛生管理基準
- 定期的な水質検査の実施と記録保管
- ウォーターサーバー本体の衛生基準
- 配送時の品質管理基準
JDSAの会員かどうかは、メーカーの公式サイトや契約書面で確認できます。業界団体に加盟しているメーカーは、法律上の基準に加えて業界独自の品質基準もクリアしているため、安全性の面で一つの判断材料になります。
サーバー本体の衛生管理も重要
水そのものの安全性だけでなく、ウォーターサーバー本体の衛生状態も大切です。注ぎ口やボトルの差し込み口は雑菌が付着しやすい場所なので、定期的な清掃が必要です。
日常のお手入れポイント
- 注ぎ口は週1回程度、清潔な布やアルコール除菌シートで拭く
- 受け皿(ドリップトレー)は取り外して洗う
- ボトル交換時にボトルの差し込み口をアルコールで拭く
- 背面の放熱部分のホコリを定期的に取り除く
拭き取り用の除菌シートをサーバーのそばに常備しておくと、ボトル交換のついでに手が動くようになります。
メーカーによっては、内部を自動で除菌するクリーン機能が搭載された機種もあります。衛生面が気になる方は、こうした機能の有無もサーバー選びのポイントにしてみてください。

安全なメーカーを見分けるチェックポイント
ウォーターサーバーを選ぶ際に、安全性の面でチェックしておきたいポイントをまとめます。
- JDSA会員かどうか:業界基準を満たしているかの判断材料になる
- 水質検査結果の公表:公式サイトで水質検査の結果を公開しているメーカーは信頼性が高い
- 工場のHACCP認証:国際的な衛生管理基準を取得しているか
- クリーン機能の有無:サーバー内部を自動で除菌する機能があるか
- 定期メンテナンスの有無:サーバーの定期交換やメンテナンスプランがあるか
よくある質問(Q&A)
Q. ウォーターサーバーの水で赤ちゃんのミルクを作っても安全?
硬度が低い軟水であれば、赤ちゃんのミルク作りにも使えます。日本のウォーターサーバーで提供される水はほとんどが軟水です。ただし、硬度が高い水はミネラル分が多く、赤ちゃんの内臓に負担をかける可能性があるため、硬度60mg/L以下の水を選ぶのが一般的です。
Q. 開封後のボトルの水に消費期限はある?
未開封の状態では製造日から6か月〜1年程度の賞味期限が設定されていますが、開封後は2週間以内に飲みきるのが推奨されています。塩素が含まれていないため、開封後は雑菌が繁殖しやすくなります。
Q. 停電中でもウォーターサーバーの水は安全?
停電中は温水・冷水の機能は使えなくなりますが、常温水として利用できるサーバーもあります。ただし、冷蔵されなくなるため、長時間の停電時は早めに飲みきるようにしましょう。
浄水型ウォーターサーバーの安全基準
浄水型ウォーターサーバーは、水道水をフィルターでろ過して提供するタイプです。この場合、原水となる水道水はすでに水道法の51項目の基準をクリアしています。浄水型サーバーの役割は、残留塩素やカルキ臭、トリハロメタンなどを除去して、よりおいしい水にすることです。
浄水型サーバーのフィルター性能は、JIS規格(日本産業規格)に基づいた試験で評価されています。除去対象物質は製品によって異なりますが、残留塩素・濁り・総トリハロメタン・CAT(農薬類)など、十数項目の除去性能が公表されているのが一般的です。
フィルターの交換時期を守ることも安全性を保つために欠かせません。多くのメーカーでは6か月に1回のフィルター交換を推奨しており、定期的にフィルターが届くサービスを提供しています。
同じ「ろ過してから飲む」という考え方は、卓上の浄水ポットでも取り入れられます。サーバー導入前のお試しとして使ってみるのも一つの手です。
水の安全性に関する情報の見つけ方
各メーカーの水質や安全性に関する情報は、以下の方法で確認できます。
- 公式サイトの「品質管理」「安全への取り組み」ページ:多くのメーカーが水質検査結果や工場の認証情報を公開しています
- JDSAの会員名簿:業界団体に加盟しているかどうかを確認できます
- 商品ラベル:ボトルに貼られたラベルには、品名・原材料名・採水地・殺菌方法などが記載されています
- カスタマーサポートへの問い合わせ:公式サイトに掲載されていない情報も、問い合わせれば教えてもらえることが多いです
水質に不安を感じたときの対処法
ウォーターサーバーの水を飲んでいて、「いつもと味が違う」「においが気になる」と感じたときは、以下の手順で対処しましょう。
- まずサーバーの注ぎ口やドリップトレーを清掃する
- ボトルの賞味期限を確認する
- 改善しない場合はメーカーのカスタマーサポートに連絡する
- メーカーの指示に従い、必要に応じてサーバーの交換やボトルの交換を依頼する
多くの場合、注ぎ口の汚れやサーバー内部の雑菌繁殖が原因です。定期的なお手入れを習慣づけることで未然に防げます。万が一、水質に関する重大な問題があればメーカーが無償で対応してくれるのが一般的です。
まとめ
ウォーターサーバーの水は、食品衛生法による厳格な基準と、メーカー独自の品質管理によって安全性が確保されています。毎日の官能検査・微生物検査、定期的な外部機関による水質検査など、何重ものチェック体制が敷かれています。
安全なウォーターサーバーを選ぶためには、JDSA会員かどうか、水質検査結果を公表しているか、工場の品質認証を取得しているかといったポイントを確認するのがおすすめです。また、サーバー本体の日常的なお手入れも忘れずに行いましょう。
水質基準の詳細については、厚生労働省の食品安全情報ページやJDSAの規格基準ページも参考にしてください。


