「おじいちゃんが全然水を飲まない」「お母さんが脱水で入院した」――高齢者の脱水は、家族にとっても大きな心配ごとのひとつです。
高齢になると喉の渇きを感じにくくなるため、自覚がないまま脱水が進行してしまうケースが少なくありません。この記事では、高齢者が脱水になりやすい理由と、それを防ぐための具体的な対策を解説します。

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高齢者が脱水になりやすい6つの理由
なぜ高齢者は脱水になりやすいのでしょうか。主な原因を6つ紹介します。
1. 喉の渇きを感じるセンサーが鈍くなる
加齢とともに、脳にある口渇中枢(喉の渇きを感じるセンサー)の機能が低下します。体が水分を必要としていても「喉が渇いた」という信号が脳に伝わりにくくなるため、水分が不足していることに気づかないのです。
2. 体内の水分量がもともと少ない
成人の体は約60%が水分ですが、高齢者は約50%まで低下するとされています。これは加齢に伴う筋肉量の減少が大きな原因です。筋肉は多くの水分を蓄える臓器であり、筋肉が減ると体全体の水分保持量も減ってしまいます。
3. 腎臓機能の低下
加齢により腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する力が弱まり、薄い尿が多く出るようになります。その結果、体内の水分が効率よく保持できなくなります。
4. トイレを気にして水分を控える
頻尿や失禁を気にして、意識的に水分摂取を減らしてしまう高齢者は少なくありません。特に夜間のトイレが心配で、夕方以降の水分摂取を極端に減らしてしまうケースが見られます。
5. 食欲の低下
食事からも多くの水分を摂取していますが、高齢になると食欲が落ち、食事量が減ることがあります。食事からの水分摂取量が減ると、全体の水分バランスが崩れやすくなります。
6. 薬の影響
利尿剤や降圧剤など、一部の薬には利尿作用があり、体内の水分排出を促進するものがあります。複数の薬を服用している方は、薬による水分バランスへの影響にも注意が必要です。
薬の服用と水分摂取の関係については、自己判断で薬をやめたり量を変えたりせず、必ずかかりつけ医に相談してください。
脱水のサインを見逃さない
高齢者本人が脱水に気づきにくいからこそ、周囲の方が脱水のサインを知っておくことが重要です。
チェックすべき脱水のサイン
- 皮膚のハリがない:手の甲の皮膚をつまんで離したとき、戻りが遅い(ツルゴール低下)
- 口の中が乾いている:唇がカサカサ、舌が乾燥している
- 尿の色が濃い:いつもより濃い黄色、量が少ない
- ぼんやりしている:いつもより反応が鈍い、元気がない
- 微熱がある:脱水による体温上昇
- 立ちくらみ:急に立ったときにふらつく
- 便秘が続く:水分不足で便が硬くなっている
これらの症状が複数当てはまる場合は、脱水の可能性を疑い、水分補給を促しましょう。症状がひどい場合は医療機関への受診をおすすめします。

高齢者の脱水を防ぐ7つの対策
1. 時間を決めて定期的に水分補給
「喉が渇いたら飲む」では遅いため、2時間おきに100〜200ml程度の水分を摂る習慣をつけましょう。タイマーやアラームを活用するのも効果的です。
2. 食事時に意識して水分を摂る
朝食・昼食・夕食のタイミングで、必ずコップ1杯の水や汁物を添えましょう。食事から摂れる水分は1日の水分摂取量の中でも大きな割合を占めています。
3. 水分の多い食材を活用する
水分を多く含む食材を料理に取り入れることで、食事を通じて水分補給ができます。きゅうり・トマト・かぼちゃ・大根・すいかなどは水分が豊富です。スープや煮込み料理にすれば、嚥下(えんげ)が難しい方でも水分を摂りやすくなります。
4. 飲みやすい温度と容器を用意する
冷たすぎる水は飲みにくいと感じる方も多いため、常温やぬるめのお茶を用意すると飲みやすくなります。また、持ちやすいコップやストロー付きのボトルなど、飲みやすい容器を選ぶことも大切です。
5. 目に見えるところに飲み物を置く
テーブルの上や枕元など、目に入りやすい場所に飲み物を置いておくと、水分補給のきっかけになります。「見えると飲む」という行動を自然に促せます。
6. ゼリー飲料や水分補給ゼリーの活用
水を飲むことに抵抗がある方や嚥下が困難な方には、ゼリー状の水分補給食品が役立ちます。飲み込みやすく、味のバリエーションもあるため、楽しみながら水分を摂ることができます。
7. 声かけとサポート
家族やケアスタッフが「お水飲んだ?」と定期的に声をかけることが、何よりの対策です。デイサービスや介護施設では、水分摂取量を記録して管理する取り組みも行われています。
関連記事:高齢者にウォーターサーバーが必要な理由
関連記事:年代別の水分補給量目安
高齢者の1日の水分摂取目安は、食事からの水分も含めて約1,500〜2,000ml程度です。飲料としては1,000〜1,200ml程度を目安にしましょう。ただし、心臓や腎臓に持病のある方は医師の指示に従ってください。
季節を問わず注意が必要
夏場の脱水
気温が高い夏場は発汗量が増え、脱水リスクが急激に高まります。エアコンの適切な使用と、こまめな水分補給が欠かせません。
関連記事:夏場の活用術・熱中症対策
冬場の「かくれ脱水」
冬は汗をかかないから大丈夫と思いがちですが、暖房による乾燥で体から水分が蒸発しやすくなります。いわゆる「かくれ脱水」は冬場に多く見られ、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高める要因にもなるとされています。

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脱水が招く深刻な健康リスク
高齢者の脱水は、単なる水分不足にとどまらず、命に関わる深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
脳梗塞・心筋梗塞のリスク上昇
脱水により血液の粘度が上がると、血管内で血栓(血の塊)ができやすくなります。この血栓が脳の血管を詰まらせれば脳梗塞、心臓の血管を詰まらせれば心筋梗塞につながります。特に就寝中〜早朝にかけては水分補給ができないため、リスクが最も高まる時間帯です。
腎機能の低下
慢性的な脱水は腎臓に負担をかけ、腎機能のさらなる低下を招くおそれがあります。腎機能が低下すると体の老廃物の排出が滞り、全身の健康状態に悪影響を及ぼします。
便秘の悪化
水分が不足すると便が硬くなり、便秘が悪化します。高齢者の便秘は食欲低下につながり、さらに水分・栄養の摂取量が減るという悪循環に陥りやすいため注意が必要です。
認知機能への影響
脱水は脳の働きにも影響を与えるとされています。軽度の脱水でも集中力の低下や混乱が見られることがあり、高齢者の場合は認知症の症状と見分けがつきにくいケースもあります。
ウォーターサーバーの活用
高齢者の水分補給を習慣化するうえで、ウォーターサーバーの導入は有効な手段のひとつです。
- 温水がすぐに出る:白湯やお茶をすぐに作れるため、飲みたいときにすぐ飲める
- 重いペットボトルを買わなくて済む:宅配で届くため、買い物の負担が軽減される
- 目に見える場所に置ける:リビングに設置することで、水分補給のきっかけになる
関連記事:高齢者にウォーターサーバーが必要な理由
Q&Aコーナー
Q. 高齢者に経口補水液を常に飲ませてもいいですか?
経口補水液はナトリウム濃度が高いため、脱水症状がないときに日常的に飲み続けると塩分過多になるおそれがあります。日常の水分補給は水・白湯・麦茶などで行い、脱水のサインが見られたときに経口補水液を活用するのが適切です。
Q. 認知症の方の水分補給はどうすればいいですか?
認知症の方は、飲み物があることを忘れたり、飲む動作そのものが難しくなったりする場合があります。ストロー付きのボトルやゼリー状の水分補給食品を活用し、声かけのタイミングを増やすことが効果的です。介護サービスの担当者にも相談してみましょう。
Q. トイレが近くなるのが嫌で水を飲まない場合は?
トイレが近くなる不安は、水分摂取を控えてしまう大きな原因のひとつです。1回の量を少なめにしてこまめに飲む、トイレに行きやすい環境を整える、夜間は就寝2時間前には水分摂取を終えるなど、工夫を取り入れてみましょう。泌尿器科への相談も選択肢のひとつです。
Q. 高齢者に適した飲み物は何ですか?
水・白湯・麦茶がベースですが、味が単調で飽きてしまう方には、昆布茶や薄めたスポーツドリンクを取り入れるのも良い方法です。ほうじ茶はカフェインが少なめで香りもよく、高齢の方にも好まれやすい飲み物です。ただし、糖分の多い清涼飲料水の飲みすぎには注意しましょう。味噌汁やスープなど、食事からの水分摂取も積極的に活用してください。
Q. 介護施設ではどのような水分管理が行われていますか?
多くの介護施設では、入居者一人ひとりの水分摂取量を記録し、目標量に達しているかをスタッフが管理しています。食事のたびに汁物を提供する、おやつの時間にお茶を出す、起床時と就寝前に必ず水分を摂らせるなど、仕組みで水分摂取を確保する取り組みが行われています。在宅介護でも、このような仕組みを参考にすると良いでしょう。

まとめ
高齢者は喉の渇きを感じにくく、体内の水分量も少ないため、脱水になりやすい状態にあります。本人の自覚がなくても脱水は進行するため、周囲のサポートと定期的な水分補給の仕組みづくりが不可欠です。
2時間おきの水分補給、水分の多い食事、飲みやすい容器の工夫、そして「お水飲んだ?」の声かけ。これらの小さな積み重ねが、大切な家族の健康を守ることにつながります。
参考:大塚製薬工場|気づきにくいお年寄りの脱水症、アイセイ薬局HELiCO|高齢者の「かくれ脱水」、ネスレ|高齢者が脱水症になりやすい原因
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