毎年、暑い季節になると「熱中症に気をつけて」という言葉を耳にします。しかし、具体的にどのように水分補給をすれば熱中症を防げるのか、正しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、熱中症対策としての正しい水分補給の方法、水・スポーツドリンク・経口補水液の使い分け、そして知っておきたい注意点を詳しく解説します。

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熱中症はなぜ起きるのか
熱中症は、体温調節機能がうまく働かなくなることで発症します。体は暑さを感じると、汗をかいて気化熱で体温を下げようとします。しかし、水分や塩分が不足していると十分な汗をかけず、体内に熱がこもって体温が異常に上昇するのです。
熱中症の症状は軽度(めまい・立ちくらみ・筋肉のけいれん)から重度(意識障害・けいれん・高体温)までさまざまです。重度の場合は命に関わるため、予防が何より大切です。
熱中症対策に必要な水分補給のポイント
こまめに少量ずつ飲む
一度に大量の水を飲んでも、体は効率よく吸収できません。20〜30分おきにコップ1杯(約200ml)を目安に、少量ずつこまめに水分を摂ることが基本です。
喉が渇く前に飲む
「喉が渇いた」と感じたときは、すでに体内の水分が1〜2%失われている状態です。喉の渇きを待たずに、時間を決めて定期的に飲む習慣をつけましょう。
塩分も一緒に摂る
汗には水分だけでなくナトリウムなどのミネラルも含まれています。水だけを大量に飲むと、体内の塩分濃度が薄まり、低ナトリウム血症を引き起こすリスクがあります。大量に汗をかいた場合は、水分と一緒に塩分の補給も忘れずに行いましょう。
- 外出前にコップ1〜2杯の水を飲んでおく
- 外出中は20〜30分おきに水分補給
- 汗をたくさんかいたら塩分も一緒に補給
- 帰宅後もしっかり水分を摂る
水・スポーツドリンク・経口補水液の違いと使い分け
熱中症対策の飲み物としてよく挙がるのが、水・スポーツドリンク・経口補水液の3つです。それぞれの特徴と使い分けを理解しておきましょう。
水
日常的な水分補給や、軽い発汗時には水で十分です。カロリーゼロで体への負担も少なく、最も手軽に摂取できます。ただし、大量に汗をかいた場合は水だけでは塩分が不足するため注意が必要です。
スポーツドリンク
スポーツドリンクは、水分に加えてナトリウム・カリウムなどの電解質と、糖分(エネルギー)を含んでいます。運動中や屋外での活動など、中程度の発汗が見込まれるシーンに適しています。
ただし、一般的なスポーツドリンクには糖分がかなり多く含まれています。日常的に大量に飲み続けると、いわゆる「ペットボトル症候群」(清涼飲料水ケトーシス)と呼ばれる急性の糖尿病様症状を引き起こすリスクもあるため、飲みすぎには注意しましょう。
経口補水液
経口補水液(ORS)は、世界保健機関(WHO)が推奨する組成に基づいて作られた飲料で、水分と電解質を最も効率よく吸収できるように設計されています。
すでに脱水症状が出ている場合や、大量の発汗で塩分が大きく失われた場合には、スポーツドリンクより経口補水液のほうが適しています。経口補水液はスポーツドリンクより糖分が少なく、ナトリウム濃度が高いのが特徴です。
関連記事:経口補水液の作り方

熱中症対策に役立つ食べ物と飲み物
水分補給だけでなく、食事面からも熱中症対策を行うことで、より効果的な予防が可能です。
塩分を含む食品
汗で失われた塩分を補うために、味噌汁・梅干し・塩昆布などを食事に取り入れましょう。特に朝食に味噌汁を1杯飲む習慣は、水分と塩分を同時に摂れる優れた熱中症対策です。
水分の多い食材
きゅうり・トマト・すいか・メロンなどは水分含有量が90%以上と非常に高く、食べるだけで水分補給になります。夏場のおやつにすいかを食べるのは、理にかなった熱中症対策といえます。
カリウムを含む食品
バナナ・アボカド・ほうれん草などに含まれるカリウムは、汗で失われやすいミネラルのひとつです。カリウムが不足すると筋肉のけいれんや倦怠感が起こりやすくなるため、日頃から意識して摂取しましょう。
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屋内でも熱中症に注意
熱中症は屋外だけでなく、屋内でも発症します。特に注意が必要なのは以下のようなケースです。
エアコンを使わない室内
「電気代が気になる」「エアコンが苦手」という理由でエアコンを使わずに過ごすと、室内温度が上昇し、熱中症のリスクが高まります。室温が28℃を超えたら、我慢せずにエアコンを使いましょう。
就寝中
夜間も気温が下がらない「熱帯夜」では、睡眠中に脱水が進行し、熱中症になるケースがあります。就寝前にコップ1杯の水を飲み、枕元にペットボトルを用意しておくと安心です。
入浴中
入浴は発汗量が多く、脱水が起きやすい場面です。入浴前後にそれぞれコップ1杯の水を飲むことを習慣にしましょう。
年代別の注意ポイント
子ども
子どもは体温調節機能が未発達で、体が小さい分、体内の水分が失われる影響も大きくなります。外遊びの前後にしっかり水分を摂らせ、遊んでいる途中でも定期的に水分補給の声かけをすることが大切です。
高齢者
高齢者は喉の渇きを感じにくくなるため、気づかないうちに脱水が進行しやすい傾向があります。時計やアラームを活用して、定時に水分を摂る仕組みを作ると効果的です。
関連記事:高齢者にウォーターサーバーが必要な理由
関連記事:年代別の水分補給量目安
屋外で働く方
建設現場や農作業など、屋外で長時間働く方は熱中症のリスクが特に高くなります。30分おきの水分補給を徹底し、定期的に日陰で休憩を取ることが重要です。

熱中症の初期症状と応急処置
万が一、熱中症の症状が現れた場合の応急処置も知っておきましょう。
初期症状のサイン
- めまい・立ちくらみ
- 大量の発汗、または汗が出なくなる
- 筋肉のけいれん(こむら返り)
- 頭痛・吐き気
- 体がだるい・力が入らない
応急処置の手順
- 涼しい場所に移動する(エアコンの効いた室内や日陰)
- 衣服をゆるめ、体を冷やす(首・脇・太ももの付け根を冷やすと効果的)
- 意識がはっきりしている場合は、経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ飲ませる
- 症状が改善しない、または悪化する場合はすぐに救急車を呼ぶ
意識がもうろうとしている場合は、無理に水分を飲ませないでください。誤嚥(ごえん)の危険があります。すぐに救急車を要請しましょう。
Q&Aコーナー
Q. 経口補水液を予防的に飲んでもいいですか?
経口補水液は脱水症状の改善を目的とした飲料で、ナトリウム濃度が高めです。健康な状態で予防的に大量に飲み続けると、塩分の摂りすぎにつながる可能性があります。日常の予防には水やスポーツドリンクのほうが適しています。
Q. 麦茶は熱中症対策になりますか?
麦茶はカフェインを含まず、ミネラルが含まれているため、熱中症対策の日常的な水分補給に適した飲み物のひとつです。ただし、大量に汗をかいた場合は塩分が不足する可能性があるため、塩あめや味噌汁など、塩分を補給できるものと組み合わせるのがおすすめです。
Q. アルコール飲料は水分補給になりますか?
アルコールには利尿作用があり、飲んだ以上の水分が排出されてしまうこともあります。ビールやチューハイなどは水分補給にはならず、むしろ脱水を促進してしまうため、熱中症対策としては不適切です。夏場のバーベキューなどでビールを飲む際は、必ず水やお茶も一緒に摂るようにしましょう。
Q. 塩飴や塩タブレットは熱中症対策に効果がありますか?
汗で失われた塩分を手軽に補給できるため、屋外での活動時や運動時の補助として活用できます。ただし、塩飴だけでは水分は補給できないため、必ず水と一緒に摂ることが重要です。また、高血圧の方や塩分制限がある方は、過剰摂取にならないよう注意してください。
Q. エアコンをつけていても熱中症になりますか?
エアコンの設定温度が高すぎたり、風が直接体に当たらない場所にいる場合は、室温が十分に下がらず熱中症のリスクが残ります。また、エアコンの効いた部屋は空気が乾燥しやすいため、のどの渇きを感じにくくなり水分補給を忘れがちです。室温は28℃以下を目安にし、水分補給も忘れずに行いましょう。
関連記事:夏場の活用術・熱中症対策

まとめ
熱中症対策の基本は、こまめな水分補給と塩分の補給です。軽い発汗には水、中程度の発汗にはスポーツドリンク、脱水症状が出ている場合は経口補水液と、状況に応じて飲み物を使い分けることが大切です。
屋外だけでなく屋内でも熱中症は起こり得ます。子どもや高齢者など、自分で体調の変化に気づきにくい方には周囲のサポートも欠かせません。正しい知識を持って、暑い季節を安全に乗り越えましょう。
暑さ指数(WBGT)を活用した熱中症対策
熱中症のリスクを客観的に判断するには、「暑さ指数(WBGT)」という指標が役立ちます。WBGTは気温・湿度・輻射熱の3つの要素を総合的に評価した指標で、環境省の「熱中症予防情報サイト」などで確認できます。
WBGTが28℃以上で「厳重警戒」、31℃以上で「危険」となり、激しい運動は避けるべきとされています。外出前にWBGTを確認し、危険な場合は不要な外出を控えるか、十分な水分・塩分の準備をしてから出かけるようにしましょう。
また、近年は携帯型の熱中症指数計やスマートウォッチのアプリでもWBGTを確認できる製品が増えています。特に高齢者や子どものいる家庭では、こうしたツールの活用も検討してみてください。
関連記事:水は1日何リットル飲むべき?
参考:食共育推進協会|経口補水液とスポーツドリンクの違い、アスリション|スポーツドリンクの比較とおすすめ
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