「水道水に農薬が含まれているって本当?」「浄水器を使えば農薬は除去できるの?」そんな不安をお持ちの方は少なくありません。
日本の水道水は世界的に見ても安全性の高い水ですが、水源の河川や地下水から微量の農薬成分が検出されることがあります。浄水場でも処理されていますが、より安心して飲みたいなら浄水器の導入が有効です。
この記事では、水道水に含まれる農薬の実態、浄水器の農薬除去基準、そして農薬除去に適した浄水器の選び方を詳しく解説します。JIS規格やJWPA規格の除去対象物質についても触れておりますので、浄水器選びの参考にしてください。
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水道水に農薬は含まれているのか
水道水質基準での農薬の扱い
日本の水道水質基準では、農薬に関する項目が設定されています。厚生労働省が定める水質基準項目には、直接「農薬」という項目はありませんが、水質管理目標設定項目の中で農薬類が管理されています。
具体的には、農薬類の検出値と目標値の比を合計した「農薬類の検出指標値」が1を超えないように管理されています。つまり、日本の水道水は基準内に管理されているため、そのまま飲んでも健康上の問題はないとされています。
なぜ水道水に農薬が混入するのか
農地で使用された農薬は、雨水とともに河川や地下水に流入することがあります。特に田植えの時期(春~初夏)には、水田に散布された除草剤が水源に流れ込みやすくなります。浄水場では活性炭処理やオゾン処理で農薬成分を除去していますが、微量が残留する可能性はゼロではありません。

浄水器の農薬除去に関する規格基準
JIS S 3201の除去対象物質
浄水器の性能試験に関するJIS規格(JIS S 3201)では、13項目の除去対象物質が定められています。この中に農薬に関連する物質として「CAT(2-クロロ-4,6-ビスエチルアミノ-1,3,5-トリアジン)」が含まれています。
CATはシマジンと呼ばれるトリアジン系の除草剤に含まれる物質で、JIS規格ではこのCATを指標として農薬の除去能力をテストしています。CATの除去率が80%以上であれば、「農薬除去対応」と表示できます。
JWPA規格(浄水器協会基準)
浄水器協会(JWPA)の規格基準(JWPAS B)では、JIS規格の13物質に加えて追加の物質が設定されています。記事執筆時点で合計22物質が除去対象として定められており、より幅広い有害物質への対応が求められています。
- JIS規格:13物質(CATを含む)
- JWPA規格:最大22物質
- CAT除去率80%以上が農薬除去の基準
- 除去対象物質数が多いほど高性能
NSF認証(国際基準)
より厳格な基準を求める方は、NSF International(アメリカの第三者認証機関)の認証を受けた浄水器も選択肢になります。NSF認証は世界的に認知された非常に厳しい検査基準で、農薬を含む多数の有害物質の除去能力が第三者により検証されています。

農薬除去に適した浄水器の選び方
フィルターの種類で選ぶ
浄水器のフィルターには複数の種類があり、農薬除去に特に有効なのは以下のタイプです。
活性炭フィルターは、農薬(CAT)の除去に最も一般的に使われるフィルターです。活性炭の微細な孔に有機物を吸着させて除去します。ほとんどの浄水器に搭載されており、残留塩素やトリハロメタンの除去にも有効です。
中空糸膜フィルターは、髪の毛の太さの約1万分の1程度の微細な穴が開いた膜で、赤サビや雑菌などの粒子を物理的に除去します。活性炭と組み合わせることで、より幅広い物質に対応できます。
逆浸透膜(RO膜)フィルターは、水分子だけを通す非常に細かい膜を使ったフィルターです。農薬を含むほぼすべての不純物を除去できますが、家庭用としては価格が高く、ミネラルも除去してしまうため、日本ではあまり普及していません。
除去対象物質数で選ぶ
農薬除去を重視するなら、最低でもJIS規格の13物質に対応しているモデルを選びましょう。13物質にCATが含まれていれば、農薬除去能力があると判断できます。
さらに安心を求めるなら、JWPA規格の追加物質にも対応した15物質以上のモデルがおすすめです。据え置き型やアンダーシンク型は除去物質数が多いモデルが多く、農薬除去にも適しています。
浄水器タイプ別の農薬除去能力
| タイプ | CAT除去 | 一般的な除去物質数 | 農薬除去への向き不向き |
|---|---|---|---|
| 蛇口直結型 | 対応モデルあり | 12~20物質 | 活性炭搭載モデルなら対応可 |
| ポット型 | 対応モデルあり | 12~15物質 | 活性炭搭載モデルなら対応可 |
| 据え置き型 | 多くが対応 | 13~19物質 | 大型フィルターで除去能力高い |
| アンダーシンク型 | 多くが対応 | 13~22物質 | 最も高い除去能力 |

農薬除去に対応したおすすめ浄水器
クリンスイ CSP901(蛇口直結型)
JIS規格17物質+JWPA規格3物質の計20物質に対応。CATの除去にもしっかり対応しており、蛇口直結型ではトップクラスの除去能力を持っています。液晶でカートリッジの残量がわかるため、交換忘れも防げます。
パナソニック TK-AS31(据え置き型)
19物質対応のアルカリイオン整水器です。CATを含む幅広い物質を除去でき、浄水だけでなくアルカリイオン水も生成可能。農薬除去と多機能性を両立したい方におすすめです。
マルチピュア(アンダーシンク型)
NSF認証を取得した高性能浄水器で、農薬を含む非常に多くの物質を除去できます。米国を中心に世界中で使われており、第三者機関による厳格な検証を受けている点が信頼できます。
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農薬以外に浄水器で除去できる物質
浄水器は農薬だけでなく、以下のような物質も除去できます。
- 残留塩素(カルキ臭の原因)
- 総トリハロメタン(発がん性が指摘される物質)
- 鉛(古い水道管から溶出する可能性)
- 赤サビ(鉄管の腐食による)
- カビ臭(2-MIB)
- 水銀・陶磁器質など
浄水器の「除去対象物質」は製品ごとに異なります。購入前に必ず製品仕様で対応物質を確認しましょう。「浄水器」と名のつく製品すべてが農薬を除去できるわけではありません。
よくある質問(Q&A)
Q. すべての農薬を浄水器で除去できますか?
JIS規格ではCATという代表的な農薬成分の除去をテストしていますが、すべての種類の農薬に対して検証されているわけではありません。ただし、活性炭フィルターは多くの有機化合物を吸着除去する性質があるため、CATに限らず幅広い農薬成分への効果が期待できます。
Q. 浄水器を使えば有機野菜の洗い水にも使えますか?
浄水器で農薬を除去した水は、野菜を洗う際にも使えます。ただし、野菜の表面に付着した農薬を洗い流す効果と、水道水中の農薬を除去する効果は別の話です。野菜の残留農薬は流水で十分に洗い流すことが基本です。
Q. 井戸水の農薬除去にも浄水器は使えますか?
一般的な家庭用浄水器は水道水を前提に設計されています。井戸水は水道水とは水質が異なるため、そのまま使用すると浄水器に過度な負担がかかり、期待通りの除去性能が得られない可能性があります。井戸水には井戸水専用の浄水システムを検討しましょう。
Q. PFAS(有機フッ素化合物)も除去できますか?
PFOS・PFOAなどの有機フッ素化合物は、近年注目されている環境汚染物質です。一部のメーカーはPFAS除去テスト済みの製品を販売しており、ブリタのマクストラプロやクリンスイの一部モデルがPFOS/PFOA除去試験済みと公表しています。気になる方は、PFAS対応を明記している製品を選ぶとよいでしょう。

まとめ
日本の水道水は厳格な基準で管理されており、そのまま飲んでも健康上のリスクは低いとされています。しかし、より安心して水を使いたい方にとって、農薬除去に対応した浄水器は有効な選択肢です。
浄水器を選ぶ際は、JIS規格のCAT除去に対応しているか、除去対象物質数はいくつか、フィルターの種類は何かをチェックしましょう。浄水器全般の選び方については、浄水器おすすめ12選|タイプ別選び方ガイドもあわせてご覧ください。カルキ臭が気になる方は水道水のカルキ抜き方法の記事も参考になります。
浄水器で農薬対策を始める際の注意点
浄水器を農薬除去目的で導入する際に、知っておきたい注意点をまとめました。
- 除去対象物質にCATが含まれているかを必ず確認する(「浄水器」と書いてあっても農薬非対応のモデルもある)
- カートリッジの交換時期を守る(期限を過ぎると農薬を含む有害物質の除去率が低下する)
- 浄水器は水道水を前提に設計されているため、井戸水や天然水には使用しない
- 浄水した水は保存性が低いため、早めに使い切る
お子さんのいるご家庭での浄水器活用
小さなお子さんがいるご家庭では、水の安全性への関心が特に高まります。農薬だけでなく、残留塩素やトリハロメタンなど複数の有害物質をまとめて除去できる浄水器を選ぶことで、ミルク作りや離乳食の調理にも安心して使えます。
赤ちゃんのミルクに使う場合は、浄水した水を必ず一度沸騰させてから使用してください。浄水は塩素が除去されているため、そのまま長時間放置すると雑菌が繁殖する可能性があります。

参考:浄水器協会「浄水器の規格基準」|消費者庁「浄水器の品質表示」|水生活製作所「NSF認証とは?」
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